
「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」、気づかないうちに発症も。歯磨きで予防を
日本の死亡原因の第3位になっている肺炎。肺炎で亡くなる人の95%以上が65歳以上の高齢者で、その多くが「誤嚥性肺炎」が原因となっています。命に関わる疾患だけに予防が大切です。
誤嚥とは、本来食道へと運ばれる食物や水が、声門を超えて気管に入ってしまうことを言います。誤嚥によって口腔内に繁殖した細菌が、気管から肺に運ばれて起こる肺炎が「誤嚥性肺炎」です。高齢者や脳梗塞後遺症がある人は、飲み込む力や反射能力が低下し、誤嚥しやすくなります。次のような兆候のうち一つでも当てはまれば誤嚥をしている可能性が高いため、注意しましょう。
- 食事中、汁物やお茶を飲むときにむせる
- 食事中や食後、それ以外の時でものどがゴロゴロする
- のどに食べ物が残る感じがする
- 声がかすれてきた
- 口の中に食べ物が残る
- 食べるのに時間がかかるようになった
こういった症状がないからといって誤嚥していないと安心はできません。高齢化、認知症や神経病が進むと、咳反射が起こらなくなり、むせる症状はないのに、誤嚥していることがあります。夜間に痰(たん)や咳が増える場合は、寝ている間に自分の唾液を誤嚥している危険性があります。誤嚥の症状に気が付いたときは、飲み込みやすい食事形態に変更したり、食事前に姿勢を整えたり、寝ている時は頭を少し起こしたりして、体位を調整して誤嚥しにくい環境を整える必要があります。また、飲み込む力を改善させるために、嚥下訓練を行うことも大切です。
そして、誤嚥性肺炎を予防するための重要なポイントが口腔ケアです。誤嚥しただけでは肺炎は起こりません。口腔内が不潔な状態のままになり、繁殖した菌が、誤嚥によって気管に入ることで肺炎が起こるのです。口の中を常に清潔にキープするために、次のような点に気をつけて日々の口腔ケアを行いましょう。
- 食後、口の中に残っている食べかすを取り除く
- できれば1日4回、食後と寝る前に口腔ケアを行う
- 義歯は毎食後に外して磨き、夜間は洗浄剤につけておく
- 歯だけでなく、舌・頬の粘膜・口蓋もブラッシングする
- 歯磨きができない時は洗浄液でのうがいや拭き取りを行う
丁寧な口腔ケアを心がけ、口腔内を清潔に保つことで、誤嚥性肺炎の予防に努めましょう。
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