「ロコトレ」で介護予防 ~伸ばそう健康寿命~

将来、どんな自分でいたいですか?

5年後、10年後も今と変わらない生活を送れていると思いますか?

 

日本は世界有数の長寿国です。「平均寿命」は2015年の統計で男性80.2歳、女性86.6歳となりました。一方、介護を必要とせず自立した日常生活を送れる期間「健康寿命」は、男性71.2歳、女性74.1歳となっています。では、「平均寿命」と「健康寿命」の差の期間は何を表しているでしょうか?それは、何らかの介護を有する「不健康な期間」です。つまり、男性は約9年、女性は約12年半もの間、介護が必要な状態で過ごしていることになります。

その原因のうち最も多い25%を占めるのが転倒による骨折や変形性関節症など「運動器」の障害なのです。ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、関節および筋組織などの運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態を表す概念として、2007年に日本整形外科学会が提唱した名称です。ロコモ対策は健康寿命を延伸し自立した生活を送るために必要な課題として注目を集めています。

では、どのような対策をすればいいのでしょうか。まずは、自身のロコモの危険度の把握から始めましょう。

簡便な評価法として「ロコチェック」があります。

  • 片脚立ちで靴下がはけない
  • 家の中でつまずいたりすべったりする
  • 階段を上がるのに手すりが必要である
  • 家のやや重い仕事が困難である(掃除機がけなど)
  • 2kg(1ℓの牛乳パック2コ)程度の買い物をして持ち帰るのが困難である
  • 15分くらい続けて歩くことができない
  • 横断歩道を青信号で渡りきれない

「ロコチェック」では7項目のうち1つでも該当するものがあれば運動機能が低下している可能性があり、気を付けなければなりません。

対策としては、「運動」「栄養」「生活習慣」の3本柱があげられます。中でも運動は重要で、すべての運動習慣はロコモ対策に資すると言っても過言ではありません。

今回は、歩行機能改善、転倒予防、骨折予防を目的に、安全に継続できる運動トレーニングとして開発された「ロコトレ」をご紹介します。

「ロコトレ」はバランス能力を改善する「開眼片脚立位」と、下肢筋力を総合的に強化する「スクワット」の2種目で構成されています。「開眼片脚立位」は、その名のとおり眼を開けたままの姿勢で片脚を5~10cm程度上げて1分間保つことを左右交互に実施します。バランスを崩した時にすくに掴まれるように、椅子や机の傍で行うようにしましょう。

「スクワット」は、両脚を肩幅に広げて立ち、つま先を30°程度開いた状態で椅子に座る要領で身体を沈めます。膝に負担がかかり過ぎないように、膝は90°以上曲げすぎず、膝がつま先より前に出ないように注意して行いましょう(図)。いずれも、朝昼晩、1日3回行うことで比較的短期間(2ヶ月程度)で効果が期待できるとされています。ただし、効果を出すためには継続することがきわめて重要です。

 

「ロコチェック」で大丈夫だった方も。ぜひ「ロコトレ」を継続して行ってみてください。継続して行うことでロコモ予防にも繋がります。いつまでも元気で自立した生活を送り、お住まいの地域から広島市全域、ひいては日本全国を元気にしましょう!

 

※「ロコトレ」は自宅で簡単に行えますが、身体に負荷を与えるため疾患をお持ちの場合は症状悪化する恐れや新たに疾患を発症する可能性もあります。開始前に不安のある場合や痛みを伴う場合は整形外科に受診しチェックを受けることを推奨します。

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