ケガをしないカラダのつくり方

今すぐできる!!メディカルチェックポイント

子どもの運動能力の低下と怪我

文部科学省が行っている「体力・運動能力調査」によると、子どもの体力・運動能力は、昭和60年頃から現在まで低下傾向を示しています。一方で、身長・体重などの体格は親の世代を上回っています。

体格が大きくなっている一方で、体力・運動能力が低下しているということは、身体能力の低下が顕著であるともいえます。

その原因として、外遊びやスポーツ活動時間の減少、運動の場所の減少、少子化による仲間の減少などが挙げられています。身体能力が低下し、危険な状況での対応ができず怪我をしてしまう子どもが多くなっているのです。

※出典:文部科学省「体力・運動能力調査」より

スポーツ現場での怪我の現状

現在、部活動における障害で最も多い部位は下肢(膝や足首など)で、約43.7%といわれています(日本スポーツ振興センターより引用)。運動経験のある人であれば、一度は足首の捻挫や膝の痛みなどを経験したことがあるのではないでしょうか。下肢の怪我は、使いすぎ(オーバーユース)により発生する「スポーツ障害」と、捻挫や靭帯損傷・骨折などの瞬間的に大きな力が加わり発生する「スポーツ傷害(外傷)」に大きく分けられます。

スポーツ障害の要因として、①筋力の低下 ②休息・栄養不足 ③ウォーミングアップ・クールダウン不足 ④運動フォーム ⑤成長期 といったものが挙げられます。

スポーツ傷害(外傷)は予期せぬ場面で突発的に発生することが多いため、完全に回避することは困難です。しかし、先に述べた要因の改善により発生率を低下させることは可能です。また、怪我が起こりにくい動作の習得なども効果的ですが、現状では怪我をしやすい状態であっても、それに気付いていないことがほとんどです。

 

怪我を予防するためには

当院では平成25年度より、近隣の高校の女子バスケットボール部を対象にスポーツ障害予防のためのメディカルチェックを行っています。バスケットボールで多い怪我として、足首の捻挫・膝の靭帯損傷や半月板損傷・疲労骨折など、下肢の怪我が比較的多くみられます。数日~数週で良くなるものから、手術が必要になるような重症なものまでさまざまです。

怪我をすると安静にする時期が必要ですが、限られた時間・部員という状況で完治する以前に復帰して逆に怪我を長引かせたり、さらなる怪我にもつながったりという場合も少なくありません。

では、怪我は防ぐことができないのでしょうか。予期できず、100%防ぐことは難しいですが、怪我を起こさないような身体作りや運動能力の向上、自分の現状把握により予防することは可能です。

バスケットボールのメディカルチェック内容として、問診(身長・体重・怪我の既往など)・柔軟性・敏捷性・跳躍力・筋力・持久力・安定性の項目をチェックしています。これを、理学療法士が測定し、選手1人1人の結果をまとめ、チーム全体の傾向も含め、選手や指導者にフィードバックしています。

その上で、障害予防プログラムとして、効果的なトレーニングの提案をしています。

メディカルチェックを行い、実際に選手が現状を把握した上で弱点克服につなげていくことが障害予防の重要なポイントではないかと考えています。

 

浜脇生整形外科リハビリセンター 理学療法士

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